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□ 創作小説 □

ある引きこもりの推理

こんばんは。
ようやっと日差しが暖かくなり始めました。うちの亀もこの頃は元気で、甲羅干しに余念がありません。

今日は、昨日書き上げて各投稿サイトにアップした短編「ある引きこもりの推理」を載せたいと思います。
これは以前思いついてばばばっと書いてぷらいべったーに上げていたものを、視点を変えてトリックも再考して書き直したものです。ぷらいべったーに上げたものよりも小説らしい仕上がりになりました。
登場するのは、主人公「」と、「私」が持ち込んだ事件について推理する探偵役「宮名思路(みやな しろ)」の二人。今回、思路の人物描写にやたら力が入っています(笑)。
簡単に言ってしまうと、『黒髪セーラー服美少女』……私の好みそのものです(*´ω`*)
どうしても書きたかった……!

これ以上前置きをしていると完全にただの変態になってしまうので、どうぞ本編をお読みください↓
(通常ブログ画面の方は追記から、それ以外の方はそのままスクロールしてご覧ください)
ある引きこもりの推理

 私は、雪が解け始めてぬかるんでいる道路を走っていた。足元で泥の撥ねる音がする。恐らく、おろしたてのスーツの裾は酷いことになっているだろう。しかし、そんなことに構ってはいられない。事件を解決しなくてはならないのだ。
 住宅街を抜けると、目指すアパートが見えてきた。特別古くも汚くもないが、信じられないほどに小さく狭い、三階建てのアパートである。確か一室一間の四畳半だったか。一間の他には、玄関と殆ど一体となっている台所と、申し訳程度に付いている洗面所、それから便所があったはずだ。相も変わらず小さなアパート『銘楼荘(めいろうそう)』の螺旋階段を駆け上りながら、私はそんなことを思い出す。そういえば、ここに来るのはいつ以来だろう。
 各階には三つずつ部屋があり、それぞれに続く細長いドアが並んでいる。私は二階の廊下を歩き、一番奥の部屋のドアを慌ただしく叩いた。少し待つと、中から「どうぞ」という声が、微かに聞こえた。私は勇んでドアを開け、玄関に駆け込んだ。
 部屋の中は、前に来た時と同じ有様だった。簡単に言うならば、『足の踏み場がない』。
 玄関から入って一番奥の壁に位置している採光窓は季節に関係なくいつでも閉じられており、昼間でもブラインドが下りているのだが、その代わりに煌々と点けられた蛍光灯の光の下、目に入って来るのは紙の束や本の山である。一体いつのものか分からない程古びたパサパサの和綴じ本が壁の方に積まれているかと思えば、少年ジャンプがひと月ごとに仕分けされて窓の下に一年分干されていたりする。辞書類は広辞苑から明鏡国語辞典、ジーニアス英和辞典などお馴染みのものから、ラテン語辞典なんてものまで、まるで蹴倒してくださいとでも言わんばかりに、玄関のすぐ前に積み重ねられている。その辞典類の後ろにはムーのバックナンバーが一揃いビニールひもで括られて鎮座しているし、岩波文庫と新潮文庫とハヤカワ文庫と角川文庫が手に手を取り合って楽しげに、床に寝転がっている。その寝姿は完全なる無造作だ。また、読んでいる最中に読者が用事を思い出して中座したらしく、広げられたままに放置されている本も多々ある。そしてまたその上に、何に使うのだかよく分からない石ころやら巾着袋やらビー玉やらが転がっており、そうした物の間に、見るも鮮やかな花を綻ばせた鉢植えが聳え立っていたりもする。部屋の主は(そんな話を聞いたことは一度もないのだが)海が好きらしく、海中を撮影した写真付きポスト―カードが幾枚も壁に貼り付けられており、合間にはアニメキャラの切り抜きが飛び跳ねている。天井を見上げると、前の部屋の主が残していった、板でできたダーツの的が釘で打ち付けられており、小さな穴が数えきれないほど開いている。この部屋で最も存在感を放っているのは左側の壁に置かれた本棚で、これが小さな部屋の三分の二ほどを占領していると言って良いのだが、その本棚の中には『長くつ下のピッピ』や『モモ』といった児童文学に『はらぺこあおむし』や『てぶくろを買いに』などの絵本から、『氷点』や『砂の器』、『犬神家の一族』など大人向けの小説も揃っている。『大菩薩峠』まである。中には『人は見た目が九割』『かなり気がかりな日本語』などの新書もあるようだ。
 そうした本や雑貨や画板や画集やペン立てなんかに埋もれるようにして床に置かれているのが、小さなテレビとノートパソコンだ。今は閉じられたノートパソコンの上に、クリスタルガイザーのペットボトルが置かれ、小さなテレビからはコードが伸び、昔懐かしい灰色のゲーム機器が繋がれている。そしてその前に、セーラー服を着た長い黒髪の少女が、こちらに背中を向けるようにして座っている。
 部屋の主、宮名思路(みやな しろ)だ。
 思路は私がドアを開くと同時に振り返り、その整った顔をこちらに向けた。私を認めると、形の良い眉をちょっと上げた。
「なんだ、君か」
 なんだとは挨拶だな、と言おうと思ったのもつかの間、思路の言葉は止まらない。
「まあいいや、さっさと入り給えよ。ドアはきちんと閉めてくれ、風が入ると寒くて仕方ない。雪解けが始まったとは言え、まだまだ冬だね。ほら、突っ立ってないで早く座り給え。そんな所にぼうっと立っていられたら私の精神衛生上よろしくない。座るスペースが無いとでも言いたげだが、そんなもの、自分で開拓して欲しいものだな。フロンティア精神というものを知らないのかね。ほら、そこに丁度手頃なゴミ箱があるだろう。中身のことは気にしなくていいから、その上にこの画板でも置いて座り給え。私はひきこもるのに忙しい。用が済んだらさっさと出て行ってくれるね」
 一息に言い切ってから、思路は切れ長の黒い双眸で、玄関に突っ立っている私を見上げている。……やれやれ。私はちょっと肩をすくめてから辞書の塔を飛び越え、文庫本の間に出来たブランクを飛び石のように渡り歩き、思路が差し出す画板を受け取り、ノートパソコンの横にあったゴミ箱の上に置き、その上に座った。そうして思路を見ると、彼女は少し満足げな表情で肯いた。
 思路は引きこもりだ。本来なら高校に通っていなくてはならないのだが、どうやら彼女には思うところがあるらしく、もう一年以上、学校に行っていないそうだ。引きこもりと言うよりも登校拒否と言った方が相応しいのかもしれないが、思路本人としては「登校拒否」ではなく「引きこもり」と形容して欲しいのだそうだ。そうした微妙な心情は私にはよく理解できないが、そもそも思路について私が理解していることなど殆ど無いと言って良い。私が理解しているのは、思路という人間が俗に言う「美少女」であるということと「引きこもり」であるということ、そして、「頭が良い」ということだけである。
「それで?」
 思路が、床にぺたんと座ったままで私を見上げる。混じり気のない漆黒の瞳が長い睫毛の間から覗いている。軽く結ばれた桜色の唇は小さく盛り上がっており、細い顎のラインが儚げだ。白い顔を縁どるのはこれまた瞳と同じく漆黒の髪で、引きこもっているというのに健康的な艶を見せている。高校二年生という年齢の割に大人のような落ち着きを持った思路は、年齢に相応の制服をスカーフまできっちり結んでいるが、それがまた彼女のために誂えたのではないかと思われるほどに似合っていた。運動不足の賜物以外の何物でもない彼女の細い脚が、校則を厳守した長さのスカートから、すらりと伸びているのが目に入る。
 私が口を開きかけると、その発言権を奪うかのように、思路はまたも喋りだした。
「まあ、君が来たということは、またぞろ事件なのだろうね。君がスーツ姿で来るということは。当たりだね? 君という奴は、本当に分かりやすい。何でもすぐに顔に出る。……しかし、タイミングが悪いねえ。私は今まさに『かまいたちの夜』をプレイしようとしていたのだよ。こうしてカセットまでセットして、あとは電源ボタンを入れればすぐにでもスタートできるのに……」
 唇を尖らせた思路の視線の先には、私も先ほど気づいた、昔懐かしいゲーム機器がある。上部に差しこんであるカセットには、確かに『かまいたちの夜』の文字。またよく見ると、思路の手の中にはコントローラーが握られていた。
「……まあ、いいよ」
 思路は一つため息をついて、コントローラーを放り投げた。薄っぺらいそれは、本の山と山との間に消える。
「話したいのなら、さっさと話してくれ給え。プレイに予定していた時間だけ、君の話に割いてあげよう。ああ、そうだ。君のことだから、お茶なんて洒落たものを欲しがるんだろう。いいとも、そこから好きな茶葉を選んで淹れ給え」
 思路が投げやりに指さした先には、小さな台所がある。勝手知ったる他人の部屋。私はシンクに置いてある食器棚に並んだ紅茶缶の中から一つを選んで取り出した。……リプトンだ。どうやら、他の缶も全てリプトンらしい。以前は私が好むブランドの茶葉が置いてあったように思ったのだが、もう無くなってしまったようだ。
「おいおい贅沢なことを考えるんじゃない、君が欲しがるような高級品はもう無いよ。リプトンで我慢することだ」
 仕方ない。
 私は小さなケトルでお湯を沸かし、リプトンの紅茶を二人分淹れて、また元の場所へ舞い戻った。お盆にのせてきたティーカップの一つを、思路の前に置く。思路はそれをさっさと飲み干してしまった。
「よし、もう必要なものは無いね。では、話を聞こう」
 そうして、思路は体育座りをした。思路なりの、話を真剣に聞く姿勢の表明だ。それを知っている私は、紅茶を飲む暇も惜しんで、事件について話を始めた。

「ふーん」
 私から事件のあらましを聞いた思路の第一声は、そんな気の抜けた相槌だった。意気込んで喋っていた私は肩透かしを食らった気になる。思路はそれまでの真剣な顔つきを緩めて、普段通りの、何を考えているのか分からない表情に戻った。
「まあ、まずは確認といこうか。今朝がた、雪の降り積もった路上で男が死んでいるのが発見された……死亡推定時刻は、雪が降り積もった後の深夜一時ごろ……死因は胸部を鋭利な刃物で刺されたことによる失血死……つまり、殺人と思われる……だがしかし、犯人の足跡と、凶器が見当たらない……雪は男の死亡推定時刻より以降は降っておらず、多少溶けてはいたが結構な量が積もっていたため、足跡が消えることはあり得ない」
 思路はそこで言葉を切り、私を見上げた。合っているか、という視線に、肯いて答える。
「よし。事件の概要は分かった。じゃあ、一つ聞きたいんだが、良いかな」
 律儀に了承を求める思路に、また一つ肯いて見せる。
「ありがとう。その男の死体なんだが、路上の何処に倒れていたのかな。歩道? 車道? 道の真ん中? 端? 軒下?」
 最後の選択肢に対して私が肯くと、思路は「ああ、やっぱり」と呟いた。
「軒下に倒れていたのか……だとすると、一つ、可能性があるな」
 それはいったい何だ。私が身を乗り出すと、思路は眉をひそめて、落ち着け、と手で示した。
「待ち給えよ。君には落ち着きと言うものが足りない。少し黙って聞いてい給え。良いかい、トリックの説明をする前に、容疑者の確認だ。容疑者は三人。一谷一夫(いちたに かずお)、二宮雄二(にのみや ゆうじ)、三内栄三(さんない えいぞう)……それぞれ被害者から金を借りていた……それで、みんなアリバイが無い。一谷は屋根の修理業を営んでいて二宮は教師、三内は不動産の営業マン。ここで一つ聞きたいんだが……ありがとう。この中に、雪国の出身者はいるかな。一谷が北海道の生まれ? ふむ。となると、彼が犯人である可能性が高い」
 一谷が犯人。
 これまでの話の流れから、どうやって彼を犯人だと特定したのだ。いつものことながら訳が分からず、私は思路を見つめる。思路は、これで自分の役割は果たした、というような表情で私の方を見ていたが、私が呆気にとられているのに気付き、ひとつ小さなため息をついた。
「やっぱり、分からないんだね。……いや、馬鹿にしている訳ではないよ。いいさ、説明しよう。まず、凶器は氷柱。氷柱だよ……ほら、軒下によくできるだろう。ここは雪国ではないからあまり大きな物は見たことがなくて想像がつかないかもしれないが、被害者が殺された日、彼の頭上には巨大でそれこそ殺人的な氷柱が垂れていたのさ。犯人・一谷はあらかじめ氷柱の根本に巻き付けておいた電熱線に電気を通して暫く置いたうえで、被害者をその軒下へ呼び出して立たせたのだ。被害者がどこに立っても大丈夫なように、複数の氷柱に細工をしておいたはずだよ。氷柱の根本は熱され、少しずつ溶ける。そして、最後には落ちるというわけだ」
 氷柱で人を殺した? そんな馬鹿な。第一、氷柱なんかで人が死ぬのだろうか。
 私の表情を見て取った思路は、生真面目な顔で続けた。
「笑っているね。氷柱なんかで人が死ぬわけがないと思うのかい。それは全く、認識が甘いとしか言えないよ。ロシアでは現に、落下した氷柱に直撃して死亡する事例が何百件もあるくらいだ。ちょっと見てみるかい」
 そう言って、思路はクリスタルガイザーのペットボトルをどけてノートパソコンを開いた。そして何やらかちゃかちゃと打ち込んだかと思うと、私の方に画面を向けた。そこには、ロシアの死亡事故件数のデータが示されていた。確かに、氷柱による死亡事故がとても多い。
「分かっただろう? ……なに、でもこの地域でそこまでの氷柱なんてできない? ……そうだね、そこがネックなんだけれど、でも氷柱は人工的に作ることができるんだよ。氷柱というものがどうして出来るのか、知っているかい。雪の積もった屋根から垂れた水が重力に引っ張られて下へ向かう、その水滴の側面がまず凍る。それから中心部分の水滴の部分が徐々に垂れ、と同時に凍る……この繰り返しだ。そしてこの時、気温が低ければ低いほど、氷柱は長くなっていく。つまり、人工的に氷柱を作ろうと思ったなら、屋根の上から少しずつ、形成されつつある氷柱の側面に、一定の量の水を流し続けなくてはいけない。それも、昼と夜の寒暖の差を利用して、効率よく氷柱が成長するように計算する必要がある。だがね、ちょっと調べればそんな計算式はすぐに出て来るのさ。ほら」
 そう言って思路がまたも見せてくれたノートパソコンの画面には、どこかの大学の論文が掲載されている。思路はその中の一つのデータを指でさしてくれたが、見ても何のことやらさっぱり分からなかった。
「こうして氷柱を落として被害者を殺した犯人は、さっさと電熱線を回収してしまう。そうすれば、氷柱が直撃して事故死したということで処理される……はずだった」
 そこで思路は言葉を切った。そして、またパソコンに何か打ち込んで、画面をこちらに向けた。Yahoo!の天気予報画面だ。
「ここにある通り、昨日の夜から今朝にかけて、急激に気温が上がっている。そのスーツを見るに、大方、君もぬかるんだ道に苦労した口だろう。この気温の変化によって、事故死と断定されるために被害者に刺さったまま残るはずだった氷柱は、被害者に刺さってから、溶けてしまったんだ。まだまだ雪が積もっている屋根に接している氷柱は零下に接しているのと同様だから早々溶けたりはしないし、路上に積もった雪も、周りの雪に冷やされているから溶けきってしまうにはもっと時間がかかる。だがしかし、落ちた氷柱は被害者に刺さり、被害者に残っていた体温と朝日との相乗効果で溶けてしまう……。それで、凶器も消えてしまったというわけさ」
 成程。
 確かに、事故死を目論んでいたのなら、氷柱が残ってくれていた方が話が早い。不審死でない限り、警察は事故死で処理するだろう。だが、氷柱が解けてしまったせいで、こうして私が動いている……。
 私は、気温の変化に礼を言いたくなった。
「これが一連の事件の流れだ。氷柱を作るのはそりゃあ気の長い作業だし、雪解けが始まる前に作業しなくてはいけない。でも一谷は屋根の修理業者だから何かと理由をつけて人の屋根の上に上ることができるし、その間に氷柱を成長させる仕掛けを作ることもできたはずだ。さらに、雪国出身の彼は、氷柱が成長したら凶器になりうるということも分かっていた。もちろん失敗する可能性だって大きい。言ってみれば賭けのようなものだ。でも、彼は分かっていて賭けてみたんだろう。失敗したって、彼自身に損が生じるわけではない。まあ、彼の計算よりも今年の雪解けが早かったのが運の尽きだったけれど」
 思路は長く息をついた。そして、少し疲れたように首を回した。
「さて、以上が私の推理だよ。納得してくれたかな」
 私は思い切り首肯した。ありがとうありがとう、と思路の細い手首を握って上下に振る。思路は迷惑そうに眉をひそめて手を引っ込めた。私はまだ感謝したりなかったが、やがて重要なことを思い出した。証拠だ、証拠が無い。
「ああ、物証か。それなら心配ない。まだ事件現場の軒下には、他にも大きな氷柱があるはずだ。その氷柱の根本を見てごらん。恐らくまだ、電熱線の後が残っているはずだ。ひょっとしたら回収しきれていない電熱線自体が残っているかもしれない。電熱線なんて個人で用意することは殆ど無いはずだから、近所の店に聞き込みして回れば、一谷が買ったと判明するだろう。それに、その家の屋根を調べるのも良いね。私の推理通りであれば、氷柱を成長させるために、屋根の上の雪を少しずつ溶かす仕掛けが施された跡があるはずだ」
 その言葉を聞いた直後、私は画板から腰を上げた。先ほど入る時に辿った道筋をそのまま逆戻りして、脱兎のごとく部屋を飛び出す。いや、兎ではない。今の私は、見つけた獲物を追う、ハウンド・ドッグである。
「ああ、部屋のドアは閉めてくれ給え……」
 微かに聞こえた思路の声に、慌てて数歩引き返してドアを閉め、再び廊下を走り、階段を駆け下りる。
待っていろ、犯人め。今すぐ私が捕まえてくれる。

 叩きつけられるように閉められたドアを見つめて、思路はため息をついた。肩に落ちた髪を揺らして、困ったように首を振る。
「まったく、騒がしい奴だ……。また大家さんから怒られてしまうではないか。しかし、彼はどうして毎回こんな話ばかり持って来るのかね。氷柱で刺殺された死体の話なんて、面白くもなんともない。もっと楽しい話題を提供してくれなければいかん」
 先ほどまで騒々しい客が座っていた場所に目を向けると、そこには口をつけられていない紅茶が置いてある。思路は腕を伸ばしてそれを取ると、さっと飲み干してしまった。そして、眉をひそめて独り言ちた。
「一口も手をつけなかったな。……やはり、リプトンは好きではないのか……」
 思路はティーカップを静かに床に置いた。そして、床に座ったままで思い切り伸びをした。スカートから伸びた脚が、何冊かの本を壁際に押しのける。
「……さて」
 素早く腕と足を元通りに縮めると、思路はテレビの電源をつけた。
「ようやく邪魔もなくなったことだし、『かまいたちの夜』を始めるとしようかね」
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Date:2014/04/13
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UserTag: 創作  短編小説  黒髪  セーラー服  美少女  推理  引きこもり  *   
Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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