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□ 創作小説 □

空を切り取る

こんばんは。
今日は前回に引き続き、部活内の強化月間・テーマ「二時間で書く」で書いた短編をアップしたいと思います。
タイトルは「空を切り取る」。

あれなんですかね、私は空を見上げるのが好きなんでしょうかね。以前書いてアップした「春霞と青の日々」も、意味なく青空を描写したりしていましたし。そういえば高校生の時友達から、「車の中からていを見かけたけど、ぼーっと上を見上げて歩いてたよね」とか言われました。考えてみたら、上を見ているか下を見つめて歩いているかのどちらかのような気がします。もっとちゃんと前を見て歩かないと危ないですな(´ω`;)

「空を切り取る」は、空の写真を撮り続ける少女の物語です。それ以外に設定もストーリーもありません。まあ、何せ二時間ですから(笑)
ノベリストなどにはまだアップしていません。なんだか書いてから日にちが経ってしまって、タイミングを逃したような気がしています……。時期的には、前回アップした「星に名前なんて要らない」の翌日に書いたものです。
「なら、そのときアップすれば良かったじゃないか!」
……はい、まったくその通りですね(´・д・)すみません。

では、通常ブログ画面の方は追記から、それ以外の方はそのままスクロールでお読みください。↓

空を切り取る

 窓枠に切り取られた空。
 それを更に、時間から切り取った写真。
 青く、白く、黄色く、紅く、時に紫と、千変万化するそれには、一つとして、そっくり同じものはない。運が良ければ、そこに虹が写りこむ時もある。
 いつでも同じ窓から、空を切り取り続けた少女がいた。少女はそこを動くことが出来ない。まだ中学にも上がらない小さな少女は、変わることないベッドの上から、毎日、空を切り取り続けた。
 デジタルカメラのカードに、空がどんどん溜まっていく。
 少女は夢を見なかった。昼間も、夜も。彼女が見るはずだった、多くの夢の代わりのように、空だけが溜まり続けていった。
 やがてカードは一杯になり、中の空は彼女のパソコンへと移動させられた。空は数字になった。数字になって、いまだ溜まり続けていく。
 青い空は、彼女の海だった。
 白い空は、彼女の空虚だった。
 黄色い空は、彼女の希望だった。
 紅い空は、彼女の情熱だった。
 紫の空は、彼女の憂いだった。
 虹が出た空は、彼女の宝物だった。
 雨の日も雪の日も、彼女は空を切り取り続けた。数限りない青。数限りない白。数限りない黄色。数限りない朱。数限りない紫。そして、ほんの少しの虹。
 少女はやがて、変わらないベッドの中で、大きくなった。けれど彼女は、自分を写そうとは思わなかった。ただ、変わり続ける空だけを、ファインダーに収めた。変化を引き留めるように。そして、変化を追うように。
 やがて、彼女の空が消えた。
 病院の隣に、病院よりも遥かに高いビルが建った。
 少女はカメラを放り出し、空があった場所を、瞬きせずにじっと見つめていた。一日中、窓から目を離さなかった。元々無口だった少女は、一言も喋らなくなった。心配した両親がずっと傍に付いていたが、ある時二人とも病室から離れなければいけない事情が出来た。それはほんの少しの間だったが、二人が揃って部屋に戻ってきた時、少女の姿は見えなくなっていた。両親は狂ったようになって探し回ったが、院内はおろか、外に出たらしい形跡もなかった。窓の外に落ちたわけでもなかった。
 窓枠に切り取られた写真。
 それを更に、時間から切り取った写真。
 写真に写った空は、色褪せない。時間から隔離された少女の魂は、決して色褪せない。
 少女が切り取り続けた空を丹念に見回す者が、これから先もしも現れるとしたら。
 その無限の空の中に、彼女の姿を垣間見ることも出来るかもしれない。

 少女が病室から忽然と姿を消す、その直前。病室に、乾いた声が響いた。

「そらを ください」
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Date:2011/06/22
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UserTag: 短編小説  創作  *    写真 
Thema:オリジナル小説
Janre:小説・文学

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